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月に1度の『お互い褒め合いタイム』の効果|照れくさいけど続けたい夫婦の新習慣

目次

はじめに:なぜ夫婦間で褒め合うことが難しいのか

結婚生活が長くなるにつれて、パートナーの良いところは「当たり前」になってしまいがちです。新婚当初は感謝していた小さな気遣いも、いつの間にか気づかなくなってしまう。これは決して愛情が薄れたわけではなく、人間の脳が効率化を求めて「慣れ」という仕組みを作り出すからです。

特に日本人の場合、身内を褒めることに対する文化的な抵抗感もあります。「言わなくても分かるだろう」「改まって褒めるなんて恥ずかしい」という思いが、夫婦間のポジティブなコミュニケーションを妨げています。

しかし、心理学の研究では言葉にして伝えることの重要性が繰り返し証明されています。相手の良いところを意識的に見つけ、それを言葉にして伝える習慣は、夫婦関係に驚くべき変化をもたらします。月に1度、お互いを褒め合う時間を設けることで、関係性は確実に深まっていくのです。

褒め合いタイムがもたらす5つの効果

1. 相手の良いところを探す習慣が身につく

月に1度の褒め合いタイムを設定すると、日常生活の中で自然と相手の良いところに目が向くようになります。「来月の褒め合いタイムで何を伝えようか」と考えることで、普段なら見過ごしてしまう小さな優しさや努力に気づけるようになるのです。

例えば、毎朝ゴミ出しをしてくれる夫の姿、子どもの送り迎えを欠かさない妻の頑張り、疲れているのに笑顔で「おかえり」と言ってくれる瞬間。これらは日常に埋もれがちですが、意識的に探すことで「当たり前」が「ありがたい」に変わっていきます

この習慣が身につくと、相手への感謝の気持ちが日々蓄積されていき、月に1度の褒め合いタイムがより充実したものになります。さらに、相手の良いところを探す視点は、自然と関係全体をポジティブに捉える力を育ててくれます。

2. 自己肯定感が高まり、パートナーへの愛情も深まる

パートナーから褒められることで、自分自身の価値を再認識できます。「料理が美味しい」「仕事を頑張っている」「子育てが上手」など、普段自分では気づかない長所を相手から指摘されることで、自己肯定感が高まります。

興味深いことに、自己肯定感が高まると相手への愛情も自然と深まるという相乗効果があります。これは「情緒的互恵性」と呼ばれる心理現象で、自分が大切にされていると感じると、相手のことも大切にしたくなるという人間の自然な反応です。

特に子育て中の夫婦や、仕事で忙しい時期には、お互いの努力が見えにくくなりがちです。そんな時こそ、月に1度立ち止まって相手の頑張りを認め合う時間が、夫婦の絆を強める大切な栄養剤となります。

3. コミュニケーションの質が向上する

褒め合いタイムを続けていると、日常会話の質が大きく変わってきます。批判や不満ばかりでなく、感謝や称賛の言葉が自然と増えていくのです。

これは「プライミング効果」と呼ばれる心理現象が働くためです。月に1度でも意識的にポジティブな言葉を交わすことで、脳がポジティブな表現を使いやすい状態になります。その結果、普段の何気ない会話でも「ありがとう」「すごいね」「助かるよ」といった肯定的な言葉が増えていきます

また、褒め合いタイムでは相手の話をじっくり聞く必要があるため、傾聴力も自然と向上します。この習慣が身につくと、日常的な会話でも相手の話により耳を傾けるようになり、より深いコミュニケーションが可能になります。

4. 関係のマンネリ化を防ぐ

長年連れ添った夫婦にとって、マンネリ化は避けては通れない課題です。しかし、月に1度の褒め合いタイムは、この問題に対する効果的な解決策となります。

褒め合いタイムでは、相手の新しい一面を発見する機会が生まれます。「最近、近所の人への挨拶が丁寧になった」「子どもへの接し方が優しくなった」など、微細な変化や成長に気づくことで、相手を新鮮な目で見ることができます

さらに、褒められる内容も毎月変わっていくため、お互いが成長し続けるモチベーションにもなります。「来月はもっと家事を頑張ろう」「新しい料理に挑戦してみよう」といった前向きな気持ちが生まれ、関係に新しい風を吹き込んでくれます。

5. 子どもへの良い影響

子どもがいる家庭では、両親がお互いを褒め合う姿を見せることが、最高の教育になります。子どもは親の姿を見て、人間関係の築き方を学びます。

両親が月に1度でもお互いを称賛し合う時間を持つことで、子どもは「相手の良いところを見つけて伝えることの大切さ」を自然と学びます。また、両親の仲が良いという安心感は、子どもの情緒的な安定にも大きく貢献します

実際に褒め合いタイムを実践している家庭では、子どもも自然と家族を褒める習慣が身につき、家庭全体がポジティブな雰囲気に包まれるという報告が多くあります。

実践方法:始めやすい3つのステップ

ステップ1:日時と場所を決める

最初のステップは、具体的な日時と場所を決めることです。「月末の土曜日の夜9時から」「毎月第一日曜日の朝食後」など、お互いの都合に合わせて固定の時間を設定しましょう。

場所は、リラックスできる環境が理想的です。自宅のリビング、お気に入りのカフェ、散歩しながらなど、二人が落ち着いて話せる場所を選びます。子どもがいる場合は、子どもが寝た後の時間や、実家に預けている時間を活用するのも良いでしょう。

大切なのは、この時間を「特別な時間」として位置づけることです。スマートフォンは置いて、テレビは消して、お互いに向き合う時間を作ります。最初は15分程度から始めて、慣れてきたら30分、1時間と延ばしていくのがおすすめです。

ステップ2:褒めるポイントを3つずつ用意する

褒め合いタイムの前に、相手を褒めるポイントを3つ準備しておきます。これは即興で考えるよりも、事前に準備することで、より具体的で心のこもった褒め言葉を伝えられるからです。

褒めるポイントは、以下の3つのカテゴリーから1つずつ選ぶとバランスが良くなります:

3つのカテゴリー

①行動や努力を褒める:「毎日お弁当を作ってくれてありがとう」「仕事で遅くなっても、子どもとの時間を大切にしているね」

②性格や人柄を褒める:「あなたの前向きな性格に救われている」「困っている人を見過ごせない優しさが素敵」

③変化や成長を褒める:「最近、料理のレパートリーが増えたね」「子どもへの接し方がより温かくなった」

メモやスマートフォンに記録しておくと、当日スムーズに伝えられます。

ステップ3:感謝の気持ちも一緒に伝える

褒め言葉と一緒に、具体的な感謝の気持ちも伝えましょう。「○○してくれて、本当に助かっている」「あなたのおかげで○○できている」など、相手の存在が自分にとってどれだけ大切かを言葉にします。

例えば、「いつも子どもの宿題を見てくれてありがとう。おかげで私は夕食の準備に集中できて、家族みんなで温かい食事を囲めている」といった具合に、相手の行動が生み出している良い結果まで伝えると、より深い感謝の気持ちが伝わります。

最初は照れくさいかもしれませんが、回を重ねるごとに自然に言葉が出てくるようになります。大切なのは、形式にとらわれすぎず、素直な気持ちを伝えることです。

照れくささを乗り越えるコツ

最初は手紙やメッセージから始める

面と向かって褒めるのが恥ずかしい場合は、手紙やメッセージアプリから始めるのも一つの方法です。文字にすることで、じっくりと言葉を選べますし、相手も落ち着いて読むことができます。

手紙の場合は、月に1度お互いに交換するという形式にすると、特別感が増します。手書きの温かみは、デジタルでは味わえない特別な感動を生み出します。また、手紙は後から読み返すこともできるので、辛い時期の心の支えにもなります。

慣れてきたら、手紙を読み上げる形で始めて、徐々に直接伝える形に移行していくのも良いでしょう。大切なのは、お互いが心地よいペースで進めることです。

ゲーム感覚で楽しむ

褒め合いタイムを「褒め合いゲーム」として楽しむのも効果的です。例えば、「今月のMVP賞」を決めたり、「ベスト笑顔賞」「頑張ったで賞」など、ユーモラスな賞を作ったりすると、堅苦しさが和らぎます。

また、褒め言葉にポイントをつけて、年間で集計するというゲーム要素を加えることもできます。「具体的な褒め言葉は3ポイント」「初めて褒めた内容は5ポイント」など、楽しみながら続けられる工夫をすることで、照れくささも自然と薄れていきます。

さらに、子どもも巻き込んで家族全員で褒め合う時間にすると、より自然な雰囲気で実施できます。子どもの素直な褒め言葉が、大人の照れくささを和らげてくれることもあります。

小さなご褒美を設定する

褒め合いタイムの後に、二人で楽しめる小さなご褒美を設定するのも良いアイデアです。お気に入りのデザートを食べる、一緒に映画を見る、マッサージをし合うなど、二人が楽しみにできることを用意します。

これにより、褒め合いタイムが「照れくさい義務」ではなく、「楽しみなイベント」として定着していきます。月に1度の特別な時間として、カレンダーに印をつけて楽しみに待つようになれば、自然と照れくささも薄れていきます。

また、褒め合いタイムの後に外食に行く、という習慣にすれば、デート気分も味わえて一石二鳥です。特別な時間を演出することで、お互いをより大切に思う気持ちが育まれます

実践している夫婦の声

30代夫婦の場合

「最初は本当に恥ずかしくて、5分も持たなかったんです」と語るのは、結婚7年目の田中さん夫妻。始めてから1年が経った今では、月に1度の褒め合いタイムが楽しみになっているといいます。

「普段は仕事と育児に追われて、お互いのことを考える余裕がなかったんです。でも、月に1度立ち止まって相手の良いところを探すようになってから、日常の見え方が変わりました。『あ、これ来月の褒め合いタイムで言おう』って思うと、イライラすることも減りました」(妻・34歳)

「妻から『あなたが子どもと遊ぶ姿を見ているのが幸せ』と言われた時は、本当に嬉しかったです。自分では当たり前だと思っていたことが、妻にとって大切なことだったんだと気づけました」(夫・36歳)

50代夫婦の場合

結婚25年目を迎えた山田さん夫妻は、子どもが独立したのをきっかけに褒め合いタイムを始めました。「正直、今更という気持ちもありました。でも、25年一緒にいても知らなかった相手の思いがたくさんあったんです」(夫・52歳)

「夫から『君の笑い声を聞くと元気が出る』と言われた時、涙が出ました。長年連れ添っていると、お互いの存在が空気のようになってしまいますが、改めて必要とされている、愛されていると実感できました」(妻・50歳)

「最近では、友人夫婦にも勧めています。みんな最初は『恥ずかしい』と言いますが、実践した夫婦は必ず『やって良かった』と言います。50代からでも遅くない、むしろ今だからこそ必要だと思います」(夫・52歳)

60代夫婦の場合

定年退職後、24時間一緒に過ごすようになった佐藤さん夫妻。「正直、息が詰まりそうでした」という妻の提案で始めた褒め合いタイム。3ヶ月続けた頃から、明らかに雰囲気が変わったといいます。

「40年近く『お疲れさま』『ありがとう』の言葉を忘れていました。でも、月に1度でもきちんと伝える時間を作ったら、普段からも自然と感謝の言葉が出るようになったんです」(夫・65歳)

「主人から『君の作る味噌汁が一番好きだ』と言われて、40年間作り続けてきて良かったと思えました。当たり前じゃなかった、感謝されることだったんだと気づけたのは大きかったです」(妻・63歳)

よくある質問と解決策

Q1: ネタが尽きてしまいそう

A: 視点を変えることで、褒めポイントは無限に見つかります。

同じ行動でも、視点を変えれば違う褒め方ができます。例えば「料理」なら、味、見た目、栄養バランス、手際の良さ、新しいレシピへの挑戦、買い物の工夫など、様々な角度から褒められます。

また、「去年と比べて」「先月と比べて」という時間軸を加えることで、小さな変化や成長も褒めポイントになります。「最近、野菜を使った料理が増えたね」「段取りが良くなって、料理の時間が短くなった」など、観察していれば必ず新しい発見があります。

Q2: 相手が乗り気じゃない

A: まずは自分から一方的に褒めることから始めましょう。

最初から相互に褒め合う必要はありません。まずは自分が相手を褒める時間を作ることから始めて、相手には「聞いてもらうだけでいい」と伝えます。

人は褒められると、自然と相手の良いところも見つけたくなるものです。1〜2ヶ月続けていれば、相手も「自分も何か言いたい」という気持ちになってきます。焦らず、相手のペースを尊重することが大切です。

Q3: 子どもがいて時間が取れない

A: 子どもを巻き込むか、短時間から始めましょう。

子どもがいる場合は、家族全員の褒め合いタイムにするのも一つの方法です。子どもも含めてお互いを褒め合うことで、家族全体の絆が深まります。

それが難しい場合は、子どもが寝た後の10分間だけでも始めてみましょう。また、LINEなどのメッセージアプリを使って、日中にメッセージを送り合うという形でも実践できます。完璧を求めず、できる範囲から始めることが継続のコツです。

まとめ:今すぐ始められる小さな一歩

月に1度の褒め合いタイムは、夫婦関係を劇的に改善する可能性を秘めた習慣です。最初は照れくさいかもしれませんが、その照れくささを乗り越えた先に、より深い絆と幸せが待っています。

大切なのは、完璧を求めないこと。5分でも10分でも、手紙でもメッセージでも、できることから始めれば良いのです。月に1度、立ち止まって相手の良いところを見つめ直す。この小さな習慣が、夫婦の関係を大きく変えていきます。

今月から、いえ、今日から始めてみませんか。「今度の週末、ちょっと話したいことがあるんだ」その一言から、新しい夫婦の形が始まります。照れくさくても、ぎこちなくても構いません。大切なのは、一歩踏み出す勇気です。

あなたの隣にいる人は、きっとたくさんの素晴らしさを持っています。それを見つけて、言葉にして伝える。月にたった1度のその時間が、残りの29日を輝かせる魔法になるのです。

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